九州地方では2026年5月3日に警報級の大雨が予想されており、福岡県や佐賀県でも道路の冠水や低い土地の浸水に厳重な警戒が必要な局面を迎えています。
特に福岡市のような都市部では、河川の氾濫がなくても排水が追いつかずに浸水する「内水(ないすい)氾濫」のリスクが高まります。また、佐賀平野や筑後平野のような低平地では、一度冠水すると水が引きにくいという特性があります。
本日(2026年5月3日)時点の情報を整理し、市区町村が出しているハザードマップを踏まえどこが危ないのか、もし冠水に遭遇したらどう動くべきかを詳しくまとめました。
福岡・佐賀で特に注意したいのはどこ?
福岡・佐賀で特に注意したいのは、
①福岡市中心部の内水氾濫
②筑後川・矢部川・沖端川など福岡県南部の低平地
③佐賀平野の内水氾濫
④六角川水系沿いの浸水常襲エリアです。
過去の災害記録を見ると、共通しているのは「短時間の猛烈な雨で排水が追いつかない都市型冠水」と「上流の大雨が下流の低地に長く効く河川氾濫」の二つです。
福岡市中心部は「博多駅周辺」「天神周辺」が要警戒
福岡市は、博多駅周辺地区と天神周辺地区を公式に内水浸水想定区域として示しています。
どちらも想定最大規模として時間最大雨量153mmを前提にしており、博多駅周辺では主要地点で危険水位到達15分後に約40cm、天神周辺では30分後に約35cmの浸水が見込まれています。
地下街出入口、地下駐車場、アンダーパス、周囲より低い道路は、短時間で危険度が一気に上がると見ておくべきです。
今回の雨で福岡市内で特に気をつけたい場所は、
博多駅周辺、天神周辺、那珂川・博多川沿いの低地、地下街の出入口、立体交差の下、見た目には浅く見えるが排水が遅い幹線道路です。
都市部の冠水は「川の氾濫がなくても起こる」ので、川から離れているから安全とは言えません。
久留米市・柳川市など福岡県南部は、低平地と河川沿いが危ない
福岡県南部は、過去の大雨で繰り返し浸水被害が出ている地域です。
久留米市では2020年の大雨で住宅被害1,955棟、道路被害191か所が確認され、筑後川や市内河川周辺、市街地の広い範囲で浸水が起きました。柳川市では2012年の九州北部豪雨で、市域の約3分の1が冠水し、西鉄柳川駅周辺にまで浸水が広がりました。
低平地ではいったん水が入ると引きにくく、被害が長時間化しやすいのが特徴です。
警戒地域として名前を挙げておきたいのは、
筑後川流域の久留米市周辺、矢部川・沖端川流域の柳川市周辺、さらに筑後平野の低平地です。
とくに国道沿い・鉄道駅周辺・用排水路が多い地域は、道路が川のようになりやすく、車での移動が急に危険になります。
佐賀市は「平野部の内水氾濫」に強い警戒が必要
佐賀市は、2024年に内水ハザードマップを更新し、令和元年8月豪雨で平野部が大規模浸水したことを踏まえて備えを強めています。
しかも佐賀市の内水想定は、令和元年8月豪雨に相当する豪雨と大潮が重なった場合を前提にしており、佐賀の地形的な弱点である「低平地」「排水が追いつきにくい平野部」をかなりはっきり示しています。市自身も、日頃から浸水しやすい場所や避難経路を確認するよう呼びかけています。
重要なのは、佐賀市のこの地図が想定最大規模降雨そのものではないという点です。つまり、実際の降り方や潮位、排水状況によっては、想定より広く・深く浸かる可能性もあるということです。
佐賀市街地、低地の住宅地、用水路・クリーク沿い、アンダーパス、幹線道路のくぼ地は特に注意が必要です。
六角川水系は、佐賀県武雄市を中心に「繰り返す浸水」に注意
佐賀県西部では、六角川・牛津川・武雄川など六角川水系が大きなポイントです。
国交省はこの流域について、想定最大規模の降雨に基づく浸水想定区域だけでなく、浸水継続時間や家屋倒壊等氾濫想定区域まで公表しています。これは、「ただ浸かる」だけでなく、「長く水が引かない」「流れが強いと建物被害もありうる」ことを意味します。
武雄市では2021年8月の大雨で、9日間総雨量1,256mm、住宅浸水1,762件という大きな被害が出ました。
被害は橘町、朝日町、北方町でとくに深刻で、2019年豪雨に続く再被災でした。
したがって、今回も六角川水系沿い、とくに過去に浸水歴のある地区、排水ポンプに依存する低地、川沿いの道路は、早めの回避が必要です。
武雄河川事務所 六角川水系洪水浸水想定区域 佐賀県 洪水浸水想定区域図
武雄市 令和3年8月大雨災害記録誌 武雄河川事務所 六角川水系洪水浸水想定区域
福岡・佐賀で「冠水すると予想される地域」はどこ?
過去災害とハザードマップを重ねると、今回の雨で特に警戒したいのは次のタイプの場所です。
都市型冠水の危険が高い場所は、
福岡市の博多駅周辺・天神周辺、佐賀市街地の低平地、地下街出入口、アンダーパス、排水能力を超えやすい幹線道路沿いです。
河川氾濫と長時間浸水の危険が高い場所は、
久留米市周辺の筑後川流域、柳川市周辺の矢部川・沖端川流域、武雄市周辺の六角川・武雄川流域です。
いずれも「低い土地」「流域の下流側」「水が抜けにくい平野部」に被害が集中しており、今回も同じタイプの地形が要注意です。
もし冠水したら、どうするか
大雨時に大事なのは、
「見に行かない」
「車で入らない」
「低い場所から離れる」の3つです。
冠水は数十分で一気に悪化するので、川・用水路・側溝・アンダーパスの様子を見に行く行動が危険です。
自治体の避難情報が出たら、夜を待たず、暗くなる前に安全な建物や指定避難所へ動くのが基本です。
自宅にとどまる場合も、1階ではなく上階、崖や河川に近い場合は早めの立ち退き判断が必要です。
特に徒歩避難では、濁った水の下にマンホール、側溝、段差、ふたの外れた水路が隠れていることがあります。
長靴は水が入ると動きにくくなるので、両手が空くようにして、底のしっかりした靴で移動し、単独行動を避けるのが安全です。
これは福岡・佐賀のように都市部と低平地が混在する地域ではかなり重要です。
車が動かなくなったらどうしたらいい?何を優先するか
国土交通省は、水深が車の床面を超えると危険だと明確に注意しています。
車内浸水で電気装置が故障し、マフラーや吸気系から水が入ってエンジンやモーターが停止するおそれがあり、さらにドア下端まで水が来ると車内からドアが開けにくくなり、ドアの高さの半分を超えるとほぼ開けられなくなるとしています。

JAFの冠水路走行テストでも、EV・HV・ガソリン車のいずれも、走り切れたケースでもボンネット内部や車内に浸水し、速度が上がるほど危険が増すことが確認されています。
つまり、「EVだから大丈夫」「四駆だから行ける」は通用しないということです。浅く見える水たまりでも、実際は深さが分からず、マンホールが開いている可能性もあるため、遭遇したら原則は進入せず迂回です。
もし冠水路で車が止まったら、最優先は車を守ることではなく命を守ることです。水位が上がる前に脱出し、近くの高い場所や堅固な建物へ移動してください。
窓が開くうちに退避し、シートベルトが外れない場合に備えてカッター、窓が開かない場合に備えて脱出用ハンマーが有効です。
車がいったん冠水したら、水が引いたあともエンジンをかけないことが大切で、JAFも点検前の始動は避け、救援要請するよう案内しています。

JAF 車内まで冠水した自動車の扱いと対処方法 JAF 冠水路走行テスト
いまのうちにやっておくべき準備
今日のうちに確認したいのは、
自宅・職場・通勤経路がハザードマップで何色か、
車を止める場所が低地や地下ではないか、
避難所まで夜でも歩ける経路があるかの3点です。
福岡市や佐賀市の内水ハザードマップ、六角川水系の浸水想定区域図を一度見ておくだけでも、行動の速さが変わります。


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